アニメ『ぽんのみち』が早くも今期の覇権を手にしたと話題だ(当社調べ)。
続きを読む2023年視聴アニメ個人ランキングTOP10
なんか流行ってるのでやってみます。
とはいえ、TOP10に選べるほどのアニメを10本も見ていないので、ルールを以下のように定めます。
①2023年に放映されたアニメからまず10本選ぶ
②①が10本に満たない場合、以前に放映されたが2023年に初めて見たアニメも含めて10本選ぶ
③②でも10本に満たない場合、ただ2023年に見たアニメも含めて10本選ぶ
以上に基づいて選んだアニメをランキング形式でまとめます。
続きを読む断頭台のあずにゃん ───アウラの自害と《奇跡》への祈り
テレビアニメ『葬送のフリーレン』が大人気だ。特に、魔王直属の手ごわい魔物だった「断頭台のアウラ」がフリーレンに敗れ自害するシーンがTwitterを中心に話題となり、以下のような二次創作も投稿されている。
続きを読む七崩賢の一人、アウラ様が物申すようです(1/2)
— 鬼輝@原稿中 (@Oniki7876) 2023年11月22日
#葬送のフリーレン #葬送のフリーレンFA pic.twitter.com/PTwZW9zzEP
『蠟梅学園中等部一年 冬休みの宿題』が文フリで頒布されるよ!
11/11(土)に開催される「文学フリマ東京37」で『明日ちゃんのセーラー服』合同同人誌『蠟梅学園中等部一年 冬休みの宿題』が頒布される。
【お知らせ】
— 舞風つむじ (@maikaze_tumuzi) 2023年10月25日
11/11開催の文学フリマ東京にて『明日ちゃんのセーラー服』合同同人誌『蠟梅学園中等部一年 冬休みの宿題』を頒布いたします。冬服黒セーラーです。嬉しいね☺️
今回も色々ありますが、気持ちSS多めです。原作70話を読んでください。
どうぞよろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/HyVyfuyYQa
今回も愛すべき狂った同志たちが参集し、私も僭越ながら寄稿させていただいた。
ただ日々の生活に追われるだけのおじさんに、こうした貴重な機会をいただいた主催の舞風つむじ氏には感謝の念に堪えない。この場を借りて改めて厚く御礼を申し上げると共に、原稿の提出が遅くなったこと、主催だけではなくデザインや校正担当の方々をはじめ、参加者の皆様にも深く謝罪させていただきたい。
ところで私は、昨年の文学フリマで頒布された『蠟梅学園中等部一年 夏休みの宿題』にも寄稿させていただいた。そこでは『明日ちゃんのセーラー服』の主人公である明日小路の実在について考察したが、今回はその続きとして3人のクラスメイトについて語りながら彼女たちの「よき生」について考察している。
ちょっと何を言ってるのかよく分からないと私も思う。せめて『冬休み』の紹介を兼ね、今回寄稿した原稿の背景について語ってみるので、どうか許してほしい*1。
*1:余計に許されない可能性は低くない。
1.幸福問答
「歴史の父」と呼ばれるヘロドトスは『歴史』の中で、古代リュディアの王クロイソスとアテネの賢人ソロンによる幸福についてのよく知られた問答を記述している。
当時栄華を誇っていたクロイソスは、諸国を外遊中で見識の深いソロンに「誰が世界一幸福な人間か」と問う。もちろん、クロイソスはソロンの口から自らの名が告げられることを期待している。しかし、ソロンは隣国との戦いで戦死を遂げ国から名誉をもって称えられたテロスを1番に、女神の祭礼に母親を連れていくために車を引き大往生を遂げたクレオビスとビトンの兄弟を2番に挙げた。
ソロンが挙げたこれらの人物は、ともにアテネの一市民でしかない。また、その財力も生活に不自由しないと評される程度のものであり、おそらくクロイソスとは比べるまでもない。納得のいかないクロイソスが苛立ちながら、私の幸福(エウダイモニア)には価値が無いとでも言うのか、と問い詰めると、ソロンは以下のように答える。
あなたが莫大な富をお持ちになり、多数の民を統べる王であられることは、私にもよく判っております。しかしながら今お尋ねのことについては、あなたが結構なご生涯を終えられることを承知いたすまでは、私としましてはまだ何も申しあげられません。
(略)
そのうえさらに良い往生が遂げられたならば、その者こそあなたの求めておいでになる人物、幸福な人間と呼ぶに値する人物でございます。人間死ぬまでは、幸運な人とは呼んでも幸福な人と申すのは差し控えねばなりません。
(ヘロドトス1970*1, 76-77)
以上の幸福問答はヘロドトスの創作と思われる。クロイソスがリュディアを統治していたと思われる時期と、ソロンがアテネ改革後に諸国を放浪していたと思われる時期が一致しないからだ(中務2010*2, 107)。しかし、幸福問答は創作であるにもかかわらず、むしろ創作であるからこそ重要である。なぜなら、歴史記述のうちで〈物語(=フィクション)〉を語ることは、記述者自身の思想や価値観を開示することに他ならないからだ*3。
では、その思想とはいかなるものか。まずは以下の2点を確認しておこう。
1つは、クロイソスの〈物語〉が『歴史』全体のモチーフとなっていることだ。『歴史』はペルシャとギリシャ諸国との戦争を中心に展開される。クロイソスは、ギリシャ諸国に侵攻した最初の外敵(バルバロス)として登場し、その栄枯盛衰が描かれる最初の偉人である。つまり、「クロイソスの興隆から没落」が「後のペルシア帝王の栄枯盛衰の範例(パラデイグマ)」となっている(前掲書,105)。
もう1つは、ソロンが「忠告者warner*4」と呼ばれる立場であることだ。忠告者は文字通り王や支配者に忠告を与える存在であるが、彼らの忠告に従う限り国や支配者は栄え、逆らった途端に没落していく。クロイソスも最初はソロンを道理の分からぬ愚か者と考えるが、やがて自らの破滅を前にソロンの正しさを思い知る。ヘロドトスの「分身の如き発言」をし、「根本思想を託されている」忠告者は、『歴史』の全体を俯瞰する視点を共有している(前掲書,063)。
クロイソスのエピソードが『歴史』全体のモチーフであり、その忠告者であるソロンが『歴史』を語るヘロドトス自身の分身ならば、幸福問答はヘロドトスの歴史観と深く通底していることになる。栄華は長く続かない、栄えるものはやがて必ず滅びるという栄枯盛衰を『歴史』は描く。ここに「敗者」の視点を読み取ることは難しくない。
例えば、ソロンに忠告を受けたクロイソスはペルシャとの戦いに敗れるが、幸運にも一命をとりとめた後、自身を滅ぼしたペルシャ王キュロスの「忠告者」となる。この変遷は没落した敗者が歴史全体を俯瞰する視点を獲得するプロセスであり、クロイソスは敗者となり表舞台から退場することで、『歴史』を演じる登場人物の栄枯盛衰を見通す(かのような)ことになる。
幸福問答におけるソロンの言葉は、こうした歴史観と同じ視点から語られる。つまり、幸福を今まさに「生」きる視点ではなく、その時間を終えた「死」から語る視点である。よって、「世界一幸福な人間」も「美しい死」を通じて語られる。もちろんソロンの忠告は「「人は生きている間はよく生きているとはいえない。墓のなかに入って初めてよく生きられるのだ」という滑稽な考え」ではなく、「「人生全体を見なければ、それが生きるに値する人生であるかどうかを完全には判断できない」という慎重な考え」ではあるだろう(アームソン2004*5, 20)。しかし、人生全体を俯瞰するためには、何かしらの形で人生そのものから退場しなければならないはずであり、その様態は多様であるとしても、私たちはそれらを何かしらの「死」と表現することができるはずだ。
ソロンを通じて語られるヘロドトスの幸福観には一定の説得力がある。確かに、自らの幸福を問うためには人生全体を俯瞰しなければならないように思える。しかし、それを問う私たちは今まさに「生」きているのだ。その視点から抜け出して人生全体を俯瞰することは「生」きながら「死」ぬことに等しい。
それはいかにして可能か。
*1:『世界の名著〈5〉ヘロドトス,トゥキュディデス』松平千秋訳, 中央公論社, 1970
*2:中務哲郎『ヘロドトス『歴史』 : 世界の均衡を描く』岩波書店,2010
*3:ここでその(歴史学的)意義については特に触れないが、歴史記述者自身の歴史観や価値観だけではなく、批判する他の歴史家(同時代、後世含めて)の歴史観や価値観を問える、という点でも歴史記述における〈物語(=フィクション)〉というトピックは非常に興味深い。
*4:「警告者」ともされる。なお、これと区別されるものとして「進言者adviser」と呼ばれるものもあるが、両者を判然とは区別し難い(藤縄謙三『歴史の父ヘロドトス』新潮社, 1989, 41-43)。
ファイルを整理していたら見つけたメモ(謎)
「問題はクリスマスケーキなんですよ。」
僕は真剣だった。
「クリスマスケーキって、高いじゃないですか。中身は普通のケーキなのに。まぁ、それはいいんですよ。需要と供給?とかいうのでしょ。僕にだってそれくらいはわかりますよ。」
「26日を過ぎれば安くなるんです。でも、クリスマスケーキは24日に食べなきゃいけない。そう決まってるんです。いや、人によってはそんなこともないかもしれません。」
“タイム・マシンの被験者募集”と書かれた掲示を見たとき、僕はこの計画を思いついた。そうだ、必要だったのはタイム・マシンだったのだ。そう確信した僕は午後の講義をサボり、掲示に書かれてあった研究室のドアを叩いた。
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